本音と建前

私の職場である介護施設にいるおばあちゃん(95歳)のお話しです。


子どもはおらず、旦那さんを若くして亡くし、90歳まで一人暮らしをしてきました。身寄りはたまに様子を見に来る姪っ子くらい。

小柄で瞳がつぶらな、いわゆるかわいいタイプのおばあちゃん。スタッフからも愛されています。

数ヶ月に一度寝ぼけて車イスから顔面ダイブして、1ヶ月くらい目の周りのあざが消えないので、ビジュアル系みたいになります。

基本一人でなんでもできますが、夜になると寂しくなる様で、寝る前のトイレが終わると自室への付き添いを要求してきます。
そして、自室ベッドまで付き添ってきたスタッフに、

「今年で95歳、ここにはもう5年お世話になっております。有難いことです。ずいぶんと長生きをしてしまいました。これが今生の別れでももう悔いはありません。明日にもお迎えがこないかと思っております。」

と、必ず同じ挨拶します。日課です。


先日、私が昼間に勤務していた時のこと。
昼寝していたはずのそのおばあちゃんからナースコールがありました。昼間はめったに呼んで来ないので何事かと訪室すると、

「い、息ができないぃぃぃ!!」

と言いながらおばあちゃんがゲホゲホ言ってます。どうやら寝てる間に唾液が気管に入ってしまった様子。

背中をさすってなだめ、落ち着いたところでおばあちゃんは言いました。


「死ぬかと思った......!(涙)」






(´・_・`)








お迎え待ってたんじゃなかったんかい(笑)





人間いくつになっても本音と建前があり、不測の事態にこそ本音が出る事を実感して、しみじみしちゃいました。

さぁ、明日からも仕事頑張ろうっと。